ぼんやり、旅のハナシ

日本と世界、ぶらぶら歩き

◆コートダジュールの太陽

美術館が好きだ。
ヨーロッパ旅行の際には、1、2日は美術館に充てている。
フランスの美術館といえば、やっぱり印象派
多くの画家が南仏の太陽に魅せられ、
その印象的な光と影をカンヴァスに残してきた。


確かにフランスの日差しは日本よりは強く感じるし、ちょっと違う。
ただし、いくら南とはいえ、
そんな大胆に違うはずはないとタカをくくっていた。


南仏でまず思い浮かぶのは、カンヌ、二―スといった高級リゾート地。
物価も高いだろうし、行く機会はないだろうと思っていた。
たまたま友人を訪ねてコロンブスの故郷Genovaに行ったとき、
地図を見たら、イタリアの海岸線を走る電車に乗れば、
ニースまでそう遠くないとわかって、1週間ほどミニトリップにでかけた。


GenovaからNice行きの急行電車もあるが、
Mentonという駅に、Jean Cocteauコクトー)の作品があるということで、
途中下車した。
普通電車になるので、国境付近のVentimiglia(ヴェンティミーリア)という駅で
フランスの電車に乗り換える。
急行列車ほどスムーズではないが、電車は不便ではない程度でていて、
各駅停車でゆっくりとリヴィエラコートダジュールを走っていく。


駅によっては、モナコのようにトンネルの中にあって、
「いまどこの駅?」
と迷うときもあったし、例にもれず、
海岸を走る電車にありがちな、トンネルもたくさん。


でも、なによりウキウキするのは、
ビーチのすぐ横を電車が走るところ。
岩場の海岸線を走る電車はいろいろと乗ったことがあるが、
「駅降りたらすぐビーチ」
という感覚がなにやら楽しい。
鎌倉江ノ電の海で、ビーチに並行で走るハイライト部分が、何倍も続く感じだ。


世界中のお金持ちが集まるエリアだから、
大小サイズもさまざまな、ヨットが停泊する場所もたくさんある。
港付近の海はさすがに綺麗とは程遠いが、
こんなに町から近いのに、ビーチの方は本当に美しい。


Menton、Niceのビーチは、砂利なので好き嫌いが分かれるところ。
Canneのビーチは、長い白浜で雰囲気もあり素晴らしい。
個人的には、観光客も多くてちょっと落ち着かない。
Antibes、Juan Les Pinsあたりからは
静かで小さいビーチが点在してしばらく続く。


ビーチは公共エリアとレストラン専用エリアに区画されている。
レストラン専用エリアは、お金を払わないと入れない。
9月終~10月初に行ったこともあり、
ランチにプラスして、パラソル、チェア提供のセットプランは
思ったより高くなかった。
シーズンオフとはいえ、昼間は半そででOKな暑さなので、
まだまだヴァカンスを楽しんでいる人がたくさんいた。


もう初秋というのに、日差しが強い。
突き抜ける空の青さと海の青さに、南仏の太陽が降り注ぐ。
確かにパリや他のヨーロッパ、南イタリアとも違う。
ここにある自然と重なる、はっきりとした光のコントラスト。
なるほど、これがいわゆる南仏の太陽なのだ。

南仏のビーチ
フランスの海の家
カンヌのビーチ
透明感が高いビーチ

 

Ezeに行った帰り道、
Villefranche-sur-Merと間違って、
一つ手前のBeaulieu-sur-Mer駅で降りてしまって、
しばらく気づかずに半島のロスチャイルド家がある別荘エリアをうろついた。
午後のその時間に出会った、その場所の景色が美しくて、
不思議に歩くのが苦にならず、結局、3時間ほど歩いてVillefranche-sur-Mer駅に。


ここは、駅の真ん前にビーチがあるので途中下車したかったのだが、
着いた頃には夕方になっていて、人もまばら。
海に南仏の太陽が沈んでいく。


季節外れに1週間滞在しただけだったが、
実際の自然の方が、遥かに美しいことは間違いない。
でも、光の眩しさのせいか、美術館に行っていないのに、
まるでアウトドアで印象派の名画を鑑賞したような気分。
多くの印象派の画家のように、
南仏の魅力にすっかり取りつかれてしまった。

別荘地帯
別荘に横付けするヨット

 

エズの村
駅前ビーチ

 

 

 

◆耳心地よいアザーン

「早朝に起こされて迷惑!」という人もいるけれど、
私は、「あー、いまアラブ圏にいるんだな…」
って実感できてちょっと心地よい。
そう、それは、ムスリムの礼拝時間をお知らせするアザーン


朝5時くらいにスピーカーで流れてくる声は、
だいたいは歌手さながらにほれぼれする美声。
コーランの一部を唱えてるらしいけど、
知らない私にとっては、歌のような詩吟のような…。
コーラン原本は、詩としても美しいって聞いたことがある。
アラビア書道で描かれたコーランも美しい。
どの宗教も神への愛は美しいもので表現される。


無償にアザーンの声が恋しくなって、サウジ出張の友人に
アザーンの時間がセットされている時計が欲しいとお願いしたら、
いまはみんなスマホアプリを利用しているとのこと。
検索してみたら、たくさんアプリがでてきた。


私の中東体験は、UAEオマーン、トルコだけだが、
電車でなぜか席をゆずってくれたり、
長距離バスでは、前方2列目までは女性専用席として空けてくれたり、
乗合タクシーでも、女性は助手席に分けて座らせてくれた。
外国人でムスリマでないと、ちょっとしたセクハラもあったけど、
10-20代ならともかく、ミドルエイジの女性には、可愛いレベル。


オマーンでは、遺跡に行った帰り道、タクシーがなく、
目がくらむ直射日光下で歩き疲れ、最後の手段で仕方なくヒッチハイクもした。
幸運にもドライバーは常識のある親切な人たちで、
たいてい、常備しているペットボトルの水まで分けてくれた。
旅人にやさしいムスリムたち。


アザーンを聞くと、中東ののんびりした時間を思い出す。
うるさい目覚ましの音より、アザーンの声で目覚めるほうが寝起きよさそう。
でも、自分の好きな時間にセットできないから、夜明け前には起こされる。
スーパー朝型人間になるか、普通の人のままでいるか…。

 

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デーツ畑とUAEの海
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アブダビのシェイク・ザイード・グランド・モスク
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ニズワ、サラーラ(オマーン
ラクダの群れ
マグセールビーチ
サラーラ(オマーン



◆ベジタリアンにやさしい台湾

日本のレストランで「ちょっとお肉苦手で。。。」というと、嫌な顔される。

特に田舎の温泉旅館では、「よくわからないので対応しかねます」と

宿泊拒否されたこともある。

いつの間にか日本は、野菜、魚ではなく「肉食中心の国」になってしまった。

 

そんな私に嫌な顔しない国、それは台湾。

中国も同じ文化圏だけど、あえて台湾といわせてもらう。

台湾は、西洋と同じでベジタリアンのポジションが理解されている国(と思う)。

中国系は、

「イス以外の四つ足は何でも食べる」

「飛行機以外の飛んでるものは何でも食べる」

といわれているし、中国大陸でいえば、海側エリア以外は、基本肉食文化。

 

一方、台湾は日本と同じ海に囲まれた島国。

いわゆる海側エリアだからシーフードも豊富。

そんな多彩な食文化も好きなんだけど、問題は、野菜のハナシ。

台湾では、街中でよく剃髪の尼さんたちが普通に食事したり、

買い物したりしている姿をみかける。

この人たちは、刺激のある五葷(ニンニク、ねぎ類)を食べないベジタリアン

 

台湾では、道教がマジョリティ。街中にも道教の廟が多くて、

昔の霊的な人とか英雄とかが神様として祭られたりしている。

仏教は4番目に多い宗教だが、真剣に仏教を実践している人たちは、菜食主義。

別に菜食系の新興宗教もあるらしい。

 

とはいえ、日本に比べて、ベジタリアンへの理解が格段上(と思う)。

「肉いらない」というと、すぐ理解してくれる。

日本みたいに、「出汁なら大丈夫?」なんて、まず聞かれないし、

実はひき肉が入ってたなんてこともあり得ない。

肉なしといったら、「肉なし」。ひき肉だろうが、出汁だろうが、ないことが前提。

 

細部まで話さなくても、ちゃんとわかってくれし、説明もしてくれるから楽ちん。

気の利いたレストランでは、メニューにもちゃんと「素食」と書いてくれている。

日本のようにエビ餃子の中にひき肉が混ざっていることも稀だし、教えてくれる。

素食の小籠包もある。

 

大好きなホカホカ「包子」も、ちゃんとこの「素食」があるからありがたい。

スイーツ系もタロイモやゴマ餡などいくつか用意されている。

日本の「包子」は、やっぱり肉系が中心で、もう何年も望むような新商品はない。

 

世界の航空会社の機内食も何種類かベジタリアン食を用意しているし、

特に欧米では、ベジタリアン食は一般的。

日本食は出汁文化だから、なかなか難しいかもしれないけど、

オリンピックまでには、ベジタリアン食の理解がもっと広がればいいと思う。

 

姜太太包子店 https://www.taipeinavi.com/food/914/

光復市場(光復市場素食包子店) https://www.taipeinavi.com/shop/611/

  

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◆シンガポールの小さなワイルドネス

長らくシンガポールを避けていた。

何度か訪れてみたものの、無機質で近代的なビルばっかりだし、

遊ぶところといえば、ショッピングか映画くらいで、楽しさもお金次第。

プレイベートでも、理不尽な理由で友人宅から追い出されたり、

出会う人が悪かったり、

ただただ「相性が悪い土地」、そんな場所だった。

 

でも、先日たまたま機会があって訪れてから印象が変わった。

それもこれも、北部にあるスンゲイ・ブロウ湿地保護区のおかげ。

さほど敷地は広くないものの、ワニ、オオトカゲ、野鳥とばったり?出会える。

公園レンジャーに餌付けされている感じのサルもいた。

 

東京の公園でみる亀とかカモとかもかわいいけど、ここでは公園にワニだよ、ワニ。

1メートル弱のトカゲも、小さくてドギツイ緑色のトカゲも、日本とは違う。

南国のエキゾチック感満載で、動物好きとしてはかなりテンションが上がる。

 

この公園の周辺は、ほとんど建物はなく、農園があったり、

中心部とはまた違った雰囲気。

対岸には、ジョホールバルらしき街並みがみられて、

都会にいることを忘れることはないものの、

シンガポーリアンの癒しの場所にはまちがいなさそう。

 

とはいえ観光地ではないので、平日だと人もまばら。

そのせいか、レンジャーさんもつきっきりでとても親切に対応してくれた。

ちょっとしたVIP気分で、よい印象がプラスされる。

散歩コースは、平たくて整備された道なので歩きやすいし、

1時間~2時間くらいでのんびりまわれる。

行くまでにタクシー、または電車+バスを使うものの、なんと入場料はタダ!

タダなのに、このクオリティ!に大満足。

 

すっかりキャッシュレス社会になって、逆に不便なところもある国だけど、

私の「相性が悪い土地」からは、思いがけず卒業となった。

 

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◆イタリアといえばやっぱりジェラート

イタリアは、1ブロックごとにジェラート屋があるといってもいい。

ほとんどどの町もカフェとジェラート屋密度が高い。

好きな食べ物トップ3にアイスが君臨している私にとって、危険な国。

「アイスは一日3個まで」と自主規制しても、5個くらい食べてしまうときもある。

 

チェーン店もあるが、ほとんどは個人営業。

ホテルのレセプションや知り合った人に、「どこのジェラートがおススメ?」

と聞くと、1、2つは重なるものの、必ず違うお店を出してくる。

それぞれのお店でフレーバーのバリエーションも異なるので、きりがない。

 

「同じフレーバーを食べないと、お店の個性がわからないでしょ?」と言われて、

お店で食べ比べをしても、だいたいどれも平均して美味しいし、

忘れてまた食べたくなる。

ピスタチオ、ヘーゼルナッツあたりのナッツ類はほぼイタリアの定番。

あとはフルーツ、ミルク、チョコ系で常時10種類は用意されている。

結局、新しいお店だけでなく、行ったお店にも何度も足を運んでしまうことになる。

 

ちなみにヘーゼルナッツは、ピエモンテ州トリノ、アスティがある)が有名。

現地の友人談によると、ヌテラが品質向上のために外国産ヘーゼルナッツから、

また国産に戻そうと、休耕地を持つ農家に

「ヘーゼルナッツを作って!」と奨励しているとか。

確かに、ピエモンテ州のローストヘーゼルナッツは美味しかった。

 

ミラノには、世界中でハーゲンダッツ並みに売られている、

アイスバーマグナムセミカスタマイズできる店舗があった。

チョコの種類やトッピングが選べる。

長らく不思議に思っていたのだけど、なぜ日本ではマグナムが販売されてないのか。

ハーゲンダッツも美味しいけど、時折マグナム が食べたくなる。

 

そんなわけで、イタリア旅行に行くと一日中アイスばかり食べている。


ヌテラ https://www.ferrero.co.jp/nutella

マグナム https://www.magnumicecream.com/us/en

 

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